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会長を偲んで
序文
会長の「密葬」が行われた平成11年3月31日、諸団体、海軍関係の受付係をしていた私の処にネィビィーブルーのジャケットに海軍帽と一目で海軍関係者と分かる出で立ちの、ご年輩のお二人が旭日旗に軍艦をあしらった名刺に添えて、「芙蓉会」と書かれた香典を差し出されました。
勿論お達しの通り、ご説明をし、香典はお持ち帰り戴きました。

 

「芙蓉会」と言っても皆さんご存じ無いかと思いますが、富士銀行、安田生命、丸紅、大成建設といった企業を中核とする企業グループ「芙蓉グループ」とは何ら関係はありません。
「芙蓉会」とは戦時中、静岡県の藤枝に創設された、旧海軍航空隊「芙蓉部隊」の関係者でもって組織された会の名称です。
会長はその「芙蓉部隊」に昭和20年2月上旬より、終戦(敗戦)迄凡そ半年間にわたり、所属し活躍されました。

 

今回はその「芙蓉会」にちなみ、今は亡き会長を偲び、戦死した数多くの海兵仲間の皆さん(先輩、同期、後輩)に対する惻隠の情に基づくものか、或いは数多くの部下を死なせてしまったという自責の念に基づくものか、会長の胸中を窺い知ることは出来ませんが、自らは決してその口を開こうとされなかった会長の海軍時代の活躍について皆さんにご紹介します。(会長のお許しを戴いてはおりませんが………)

 

私は若い頃より、「戦記物」が好きで光人社等を中心に戦記出版物を読み漁っておりました。
しかし、嘗て当社に役員として在籍された堀内康市、林正寒、丹羽正行、小出俊彦各氏の名前は目を通した刊行物の中で、見出したものの、会長のお名前は見出すことが出来ませんでした。
会長と同期(海兵第六八期)で名古屋観光ホテルで行われた社長の結婚式にもご来賓として出席された第64回直木賞作家で、岐阜県出身(但し生まれは満州四平)の豊田穣氏は可成り多くの戦記を著してみえますが、その多くが戦死した同期生他の皆さんについて、鎮魂の意を込めて紹介しているもの(例えば:「同期の桜」初、続)が多い為か、短編「われ特攻に参加せず」以外はそのお名前を見 出すことは出来ませんでした。
しかし、図書出版社刊行の「彗星夜戦隊」(渡辺洋二氏著)に待望の会長の名前を見つけることが出 来ました。それも頻繁に……
そこで本文ほかより引用、整理をし、多少長くなりますが原文に即して以下に紹介します。

 

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